『新部署立ち上げ』の壁を打ち破る3つの社内営業活動とは? 部署異動・新規事業の挨拶代わり?

”酒類・飲料プロセス技術開発No1”せんべいが語る『新部署立上げ』とは?

37年のあいだ一つの会社に勤めていると、新しい部署の立ち上げに出くわすことがあります。新しい部署ができるということは、新規事業など必要に迫られて会社は作るわけなので、すぐに仕事が舞い込んでてんてこ舞いするのかと思いきや、私が経験したある部署はいたってのんびりムード。仕事があるわけではありませんでした。
自社で新規プロセスを開発する部署だったのですが、部署にはどんな要望があったのか? お客様にあたる部署はどこなのか? なぜ私の部署に依頼しようとするのか? 部署異動で集まる人はどんな方なのか? 挨拶にまわった方がいいのか? ???のオンパレードでスタートした部署でした。
しかし3つの大きな活動を行うことで、どんどん拡大していき、開発部門ではなくてはならない部署にまで成長できました。

新部署誕生! さあ立上げです!

酒類・飲料の新規プロセスを開発する新しい部署ができて立ち上がったのは良いのですが、全く開発業務を相談されたり依頼されることがなく、メンバーは機械設備の点検・整備と清掃をしている毎日でした。商品開発をしている部署の方にとっては、何をやっている部署なのかわからなかったのでしょう。

私は最初のうちはそれもやむを得ないのかなと思っていたのですが、そういう日がずーっと続くと流石に私も考えます。「いい加減何かプロセス開発をしないとやばいかなあ。せっかくできた部署なのになくなってしまうかもなぁ・・・」という心配もでてきました。
そこで私は、営業畑で大活躍され広報など様々な部署の業務もご存じの研究所長に相談しました。

マケ不足でどん底状態

すると「せんべいちゃん、それは認知不足というやつだろう。マケができていないよ。例えば新製品を出すときは、お客様は何もご存知ないのだから、しっかりとお伝えしないといけないんだよ。それといっしょで新しい部署なんて、何をやってるのかみんな知らないよ。もっとアピールしないとわかんないよ。」と私に的確なアドバイス。

状況は理解していたつもりの私でしたが、「なるほど。」と私にもわかるくらい噛み砕いたアドバイスを受けることができました。これまでの活動を180度転換するくらいのつもりで社内向けの営業活動を開始しました。私は商品開発各部門をお客様として自部署の認知力を徹底的に上げてアピールをすべく、様々な案を画策しました。そしてやってみようとしたのがこの3つ。①会議への乱入 ②技術力の紹介 ③相談の場づくりでした。

新部署の再立ち上げにむけた営業活動 『3つの方策』

会議の乱入

私は所長のお墨付きをもらい、商品開発部門の新製品開発会議に呼ばれていないのに出席、乱入していきました。「うちの部署に相談してもらえれば、その新製品なら製品化までの日程を大幅短縮できますよ。」などと私は大口をたたき、「製造コストの極小化も検討できますよ。」などと偉そうなことをいっては業務依頼をうけてきました。

実際のところは、私が仕事を受けたときはできるかどうか分かりませんでしたが、まずは言いきってみるところからやっちゃいました。

技術力の紹介

私たち集まったメンバーは、これまでもプロセス設計や開発をすることはあり、それなりの技術はあるつもりでした。しかし、単に俗に言う『設備屋さん』でありそのままではインパクトも小さく、部署のことを理解してもらうまでに時間がかかります。そこで私は自分たちで開発した『とんでもプロセス』を応用して、面白いインパクトのあるテスト製品を作ってアピールすることにしました。商品開発をされている開発者の皆さんの昼食時を狙い、食堂で試飲や試食をして評価をいただきました。

例えば、”米の餅を使わない餅入りおしるこ”や”砂糖半分でもだんぜん甘いぜんざい”、”絶対失敗しない手打ちそば”などです。

突拍子もない製品を自分たちで設計・開発したプロセスで作ることがとを考え、プロセス開発における技術力の高さやアイデアの素晴らしさを、インパクトを最大限にアピールしました。

相談の場

私の新しい部署では、業務中はいつでもオープンにいろいろな相談を受けるようにしていましたが、待っているだけでは本音を聞けないこともあります。そこで業務時間外にも相談の場を作ってしまいました。部署メンバーの溜まり場的な中華料理店があり、そのお店に仕事帰りに顔を出してもらい、その店の美味しい餃子を食べてビールを飲みながら私たちは商品開発に携わる人たちからいろいろな悩みや困りごとを聞きました。
仕事の時間に縛られないと、これまでは話をしたこともなかった他部署の方とも、顔と名前がわかり気持ちが通じ仲間意識が芽生えます。
顔と名前がわかればしめたもの。私は、新製品開発会議のときにはこれまで以上に顔を出すとともに、相手からもたくさん相談をしてくれるように変わっていきました。

メンバー増員、フル活動

そうこうしているうちに認知が広まると多くの部署から次から次へと相談を受けるようになりました。「ああ、こんなにみなさん苦労されていたんだ。」というくらい私たちの部署はフル活動になり、新商品の開発にはなくてはならない部署として認められ、やっとのことで独り立ちできたわけです。私の部署の人員も増員となり多くの新しいプロセスが陽の目を見るようになりました。その頃開発したいくつかの製品群の基本プロセスは、今でも活用されています。

新部署の役割・モットー

半年もたつと商品開発をされる方の認知度がさらにあがり、”何か新しいものを作るときはまず聞きに行けという図式ができるくらいになりました。そして新しいプロセスを考えるだけではなく、プロセス技術もレベルアップし、それを活かし生産現場でのトラブル対応にも駆り出される部署になりました。かっこ良く言うと、私の部署としての事業拡大にもなりさらに忙しくなったのでした。
どこにもない独自のプロセスアイデアを出すノウハウがあり、それを最大限活かそうとする商品開発者がいる。そのようなプロセス開発技術が、新製品を次から次へと発売できる他社に負けない競争力の源泉になっていたのは間違いなかったと私は思っています。

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