”酒類・飲料プロセス技術開発No1” せんべいが語る『プロセス設計で困ったらメンターに教えてもらえばよい!』とは?
プロセス設計でわからない部分を補完するには、社内外におられるプロセスエンジニアのエキスパートにメンターになっていただくべき!
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いつまでたってもわからないことはあるもので、プロセス設計・プロセス制御は開発できても最近のシステムでは情報化・IT化が重要になってきています。このような日々の技術進歩についていくのは大変です。正式に発注すればなんとかなるとはいうものの、自社開発のときやシステムを納めていただく際の仕様の検証などは避けては通れません。わからない部分が発生したらどうしてきたか?補完方法については大きく2つの方法をとりました。プロセスとは、プロセス設計とは何かをとことん考えて、どのように乗り切ってきたのか。
いきなり「やってみろよ」といわれても
プロセス設計の業務を担当すると、学校で習ってきたことは違う専門外の技術を組み合わせながら設計する必要があります。例えば、電気関係の学校の出身者が配管や設備の機械的な設計をしたり、材料工学を専攻していても、水流と圧力の限度設計をしてみたりと、いろいろな能力が即戦力として求められます。しかしいきなり「やれよ」と言われても設計なんてできないものです。昔なら参考書、今ならネットの情報と首っ引きで考えることになりますがどうしても分からないことが発生したときにどうするかが大きな課題です。
誰しも感じるプレッシャー
私は若い頃だけでなくこれまで設計業務に携わっている間は同じように課題を抱えていました。サントリーで働いていたころは、ビールプロセスの設計に始まり、ウイスキー、ワイン、飲料、コーヒーなどあらゆる製品群のプロセスを設計してきましたが、新しい作り方を検討する際は特にそうでした。タンクとタンクを配管でつないでポンプを回して液を送り、攪拌機を使って溶解する。その設計を経験の浅い人がするのですから、大丈夫なのかというところです。しかし誰かが設計しないといけないわけですし、大きな失敗も許されるわけでもありません。プレッシャーばかりが大きくなってしまう。そんな状況でした。
方策は2つ
そこで私がとった方策は大きく2つ。
1つ目は本を使う。
2つ目はメンターを作るです。
本を使う
まず1つ目の本ですが、今ではネット環境で様々な情報が入手できるわけですが、昔はそんなものはなく「化学工学便覧」という厚さが10センチ近くある本や、化学工学系の参考書を小脇に抱えて電卓で計算していました。さすがに計算尺は使いませんでしたが…といってもわからない方が多数でしょう。設計時やメーカー仕様の検証時に、本の計算式が使えそうなところを見ては変形利用していたわけです。
メンターをつくる
もう一つの方策は「メンターを持つ」です。社内の先輩かというとそうではなく、社外のメンター・先生を何人も私は持っていました。いろいろな場を通じて設計会社や設備メーカーの技術者と仲良くなり、わからない部分を電話やファックスを送れば教えてもらえる関係を持っていました。大体同じくらいの年齢の方々で、今でも交流があります。みなさん偉くなっておられます。
ただ、1から10まで教えてもらうと言うことではなく、どうしてもわからない事に絞って質問をするのがポイントでした。当たり前ですが、自社のノウウなどに関わることですので、何でもかんでも聞けるわけではありません。しかしどうしてもわからないところをたずねるということは自分なりにもしっかり考えた上なので、相手にもその点は伝わって「仕方がないなぁ。助けてやろうか。」という気持ちになっていただけたのだろうと今では考えています。
質問されたらそれはそれで
私はプロセス設計の面では技術者としてたずねるばかりでしたが、質問される方にとっては若いながらも他人から頼りにされているという気持ち・自負が嬉しかったのではなかったでしょうか。
当時は機会があれば飲みに行ったりもしましたが、ビール片手に技術談義に花が咲くばかりでした。このような人と人のつながりを今の若い方たちに持ってもらいたいものです。
今の設計業務で
今の設計業務では、どんなことでもネット検索すれば情報や知見はいくらでも出てくる世界になってしまっています。本のページをめくることも、メンターとして教えてもらうようなことは難しくになっているのかもしれません。
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