工場の外国製電気・電子機器が一斉に壊れ出す理由 英語マニュアルを見てもわからない

工場などの製造現場で外国製の電気製品・電子機器がいきなり壊れ出して、私は修理にあたふたしたことがあります。国産の電気製品・電子機器と同じように、きちんと盤におさめて使っているのに、次から次へと故障が発生。持っている予備品だけでは修理が追いつかない。仕様書やマニュアルも英語なので電子機器の製造業者にうまく伝えられない。修理したいのだが古い機器なので修理部品もなくなっていて、国産の部品が使えるかどうかもよくわからない。そしてついには生産ができなくなってしまう。そんな苦い経験をしてきたが、私はある要因が故障の元凶・原因であると結論づけました。

海外製外国製の電気製品が壊れやすいようにみえるのだが・・・

工場において「この海外製の電子機器が良いというから導入したのに故障が多発。同じ盤にいれている日本製の電子機器は全く壊れないのはどういうこと? 電気製品のマニュアルは英語でよくわからないし・・」と現場からは責められる私たちプロセス設計者。でも私たちもよくわからない。「海外製は寿命が短いんだ。」ということで修理を急ぐ保全マン。なんとかラインが動き出してひと段落ではありますが、納得いかない私たち。英語で電子機器の製造業者と話をするも通じないですし。

国産も海外製も電気製品の部品はほとんど中国製なのに

でも、そんなに差があるものでしょうか? 電気製品に用いられている電子部品なんてほとんど中国製でしょうし、電子機器自体も中国で生産されているものが多いので、潜在的な故障率は同じくらいではないかと思われます。信頼性工学でいうバスタブカーブの最初は変わらないはずだと私は考えているのですが、では電子機器のどんなところに差があり、要因となりうるのでしょうか?

「この電気製品もそろそろ寿命ですね」

私のこれまでの経験で、工場にあるインバーターをはじめ、各種センサーの変換器や記録計など電気製品・電気機器は同じ時期に壊れ出します。またこれらの電気製品が壊れ出すのは、導入から10年も15年もたってからですので、メーカーの保守部品などはありません。英語で書かれたマニュアルを読んでも良くわかりません。導入時に協力してくれた業者の方からも「民生用のテレビなども7年を超えると保守部品をもたないですから、この電気製品もそろそろ寿命ですね。」と言われてわかったような気になり、やむを得ず新型機器に入れ替えてしまうこともありました。

電気製品の故障の要因はあるはず! そう、2つの大きな要因が!

でもよく見ると、同じ時期に購入した日本製の電気製品・電気機器は壊れていないのです。
『何か海外製の電気製品に大きな問題点があるのでは?』と私は感じました。

これまでの私の経験で、要因は2つあると考えています。

夏のじめっと暑い日本の気候は、英語圏など海外の電気製品には酷

1つめは、日本の気候だと私は推定しています。海外では乾燥しているところが多いので、その地域の空気を標準として設計されている電気製品や電子機器がほとんどだと想像できます。例えば、盤内冷却のためにファンを取り付けて盤内の高い温度の空気を排出し周囲の空気を取り入れて冷却することがあるわけですが、湿度が高い日本では盤周辺の空気を取り込む場合、夏場は相当湿度の高い空気を盤内に送り込んでいることになります。
数年程度では影響の出ない電子機器・電気製品であっても、湿度の高い空気ばかり送風されていれば、電子機器の基盤の腐食や電線の腐食、電気製品内部への水分の浸透などにより故障が発生してしまうことが多くありました。
また、私が経験した中でよくあったのが、センサーの端子台の部分にある基盤の腐食でした。密閉型の電子機器ではありますが電線の隙間や銅線と被覆のあいだ部分を伝って外気や外部の水分が入るのです。これは海外製の電気製品だけでなく国内製造の製品でも発生していました。

歴史が語る電気製品に対する電圧が低い日本

2つめは、電圧です。製造現場の日本の電圧は200Vが主流です。しかし、海外の電気製品は220V や240Vが主流です。もちろんユニバーサル仕様で200〜240Vまで使用できるので動作自体は問題ないのですが、電気製品に個別についている冷却ファンなどは220Vが標準で設計されていると思われるます。そのため日本で使用すると1割程度の送風能力がダウンしているのではないかと私は考えました。冷却機能も落ちて電子機器に対する負荷が大きくなってしまい、電気製品の故障が発生しやすくなっている。他にも電圧が低いため必要な電力を供給するためには電流を大きくする必要があり、それによる電気製品にある電線・コイル・トランスなどへの負荷が増えている可能性も否定できませんでした。

日本製の電子機器や電気製品は200Vできちんと能力がでるように設計されているので、国内での使用は全く問題ないですし、大は小を兼ねるので海外での使用でもユニバーサル仕様であれば問題なく使えているはずです。また、故障も発生しにくいと考えられます。「日本製の電気製品・電子機器は故障しにくく頑丈」というのは、案外こんなことなのかもしれまないと私は考えています。

電気製品・電子機器の故障に関して対応策はあるのでしょうか?

では、どのように対応するかですが、電気製品・電子機器を設置後、何年経てば故障や問題が発生するのかがわかりません。起こらないかもしれませんし、それまでに電気製品自体を更新してしまうかもしれません。ただ現在販売されている電子機器・電気製品が想定している要因に対して考慮された上で組み立てられているかどうかわかりませんので、本当に重要な電気製品・電子機器については、これらの要因も考えてみる必要はありそうだと私は思います。

湿度対策をしてみる

まず私が考える湿度対策にはいくつか方法があります。
・盤内に除湿機をいれる
・除湿空気をいれるようにする
・ファンのない盤であれば除湿空気でエアパージする
・センサーにシリカゲルような乾燥剤を入れる  など。
電線を通しての水分要因には容器内にシリカゲルを入れておくことになります。

電圧対策をしてみる

次に電圧対策ですが、こればかりはどうしようもないかもしれません。本当に大切な電気製品・電子機器は昇圧トランスで供給電源を製造元の国の電圧にまであげて供給してあげることが唯一の対策かもしれません。あとは盤に電気製品・電子機器を組立てるときに盤内の放熱・捨熱対策をして十分してあげると修理頻度の低減になると私は考えます。

電気製品・電子機器に対策をとるには個別に要因把握をしてみる

ここに列挙した対策は、これまで私が経験した範囲での内容です。実際に発生するトラブルの要因は他にもあるかもしれませんし、対策自体もこれでは不足しているかもしれません。いずれにせよ、トラブルが発生したら修理をするわけですが、故障部品を解析して真の要因をよく見つけ出し、類似トラブルが発生しないように対応するしかないとModern Elder Engineerとなった私は考える次第です。

2023.12.08/2024.05.09

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